まるで、熟した林檎のような恋でした。





生まれて初めてできた、血の繋がらない兄。



お義兄ちゃんに頭を撫でられると、ドキドキして。


手のひらが離れると、恋しくなって。


わがままを言いたくても、なかなか素直に言えなかった。



初恋の男の子と間違えていたせいもあるんだろうけど、それだけじゃない。


きっと、義理の兄という存在に、甘えたかったんだ。



そのときめきは、決して恋にはなりえない。

しょせん偽物。




自分自身を欺瞞【ギマン】していたのは、幼い自分の魔法だとしたら。


それを解いて、おしまいにしたのは、今の私。




この「好き」は最初から、初恋の皮をかぶった、家族の愛だった。





「風呂から上がったら、ちゃんと髪乾かせよ」


「うん、わかってる」


「また熱出したら、怒るからな」


「出さないよ」



扉越しに、響く。

お義兄ちゃんの声を聞いていたら、不思議と恥ずかしさが紛れていった。