まるで、熟した林檎のような恋でした。






「それがどうかしたの?」


「いや、幸が部活中、元気なさそうだったから、何かあったのかと思ってな」



え?

元気が、ない?


もしかして、観覧車での話と関係してたりする?




「……なんだ、その反応。まさか本当の本当の本当は、何かあったんじゃ……!?」


「ない!何もないから!」



即座に反論しても、世くんは聞く耳を持ってはくれない。



「一体何があったんだ!」


「ないってば!もうっ、お風呂入るから出て行って!」



こうなると、世くんは止まらない。


強行手段で、世くんの背中をグイグイ押し、部屋から追い出した。




「こら待て、りんご!話はまだ終わって」


「本当に何もなかったの!もういいでしょ、“お義兄ちゃん”!!」


「な、い…………え?今、なんて呼んだ?」



たった今、さりげなく変わった呼び名。


世くん――お義兄ちゃんは部屋を一歩出たところで、たどたどしく顔を振り向かせた。