まるで、熟した林檎のような恋でした。





終わり?それって、どういう意味?



心臓がギュッと潰されると、喉も苦しくなって、とうとう声まで枯れた。


相反して、更科先輩は続けて告げる。



「今日のデートが終わったら、りんごちゃんを好きな気持ちも終わりにすることにしたんだ」



うっすら、瞼が持ち上がっていく。


眼は、わずかに潤んでいた。




「りんごちゃんのこと、諦める。そんで、りんごちゃんの恋を、応援するよ」




更科先輩は、私を見つめて、微笑んだ。


ちょん、と触れたら、あっけなく壊れてしまいそう。



それは、不器用な作り笑顔。





私は何も言えなかった。


ごめんなさい。

と、振ることも。


ありがとうございます。

と、感謝を返すことも。


笑い返すことも、何も。




張り裂けそうな感情の名前を探るので、手一杯だった。





観覧車を降りた時には既に、あの甘い香りは途絶えていた。