まるで、熟した林檎のような恋でした。





違うっ!

強く否定したい衝動に駆られた。


だが、実際は何も言えずに、膝の上で拳を握り締める。



自分の想いに、自信がなくて。


もう、何が答えなのか、わからない。




「なあ、りんごちゃん」



あんなに温かかった光が、急激に色あせて、凍てついていく。


熱も一緒に、冷めていく。



2つの眼差しは、ブレずに繋がったまま。どちらも、揺れて、霞んでいることに気づかない。



「今まで散々振り回して、ごめんな」



え?

どうして、私、謝られてるの?


……なんだか、怖い。




嫌な予感が、した。




「迷惑だったはずなのに、そういう素振りひとつせずに、俺のことを意識してくれてありがとう」



細くも暗くもない、普段通りの喋り声。


だから、なおさら、わかっちゃうよ。



更科先輩は、今、“いつもの自分”を演じているんだって。