「もしかして、初恋の男の子って……更科先輩?」
まさか。
そんな。
……本当に?
「……ちゃん、りんごちゃん?」
名前を呼ばれ、ハッと我に返った。
すぐさま目の前を直視するが、あまりの近距離さにまた俯いてしまう。
ほのかに漂う、甘い香り。
耳たぶが熱いのは、単なる錯覚だ。
「途中から、たまに上の空になることが増えたよな。疲れたか?」
勢いよく頭【カブリ】を振る。
そのせいで、ガタンッとゴンドラが揺れた。
今、私と更科先輩は、公園の近くにある大きな観覧車に乗っている。
ゴンドラからは、公園全体が一望でき、とても景色がいい。