まるで、熟した林檎のような恋でした。





りんごちゃんも読んでたんだ。

こんなところに共通点があったとは。



ベンチにいる2人の子どもが、林檎のストーリーを抑揚なく音読していく。




《かじゅうといっしょにどくもとけた みつにみちた どろどろかじつ

いちばんあまくなれるなら べちゃべちゃになったって べつに ぜんぜん へいきだよ》




小さい頃、俺も似たようなことをしたっけ。


瞼の裏に再生されるのは、過去の面影。



「俺もさ、昔、あんな風に読んだんだ」



子どもたちを見守る俺を、りんごちゃんは静かに見つめていた。



「いつだったかな……小学1、2年くらいだったか。公園で遊んでたら、当時の俺よりももっとちっちゃい女の子がやってきてさ。ずっと1人きりだったから、心配になって、思い切って声をかけてみたんだ」



昔話を色づけるみたいに、子どもたちの声がよく響いた。




《やっと ほら すべてかんぺき はなまるあげる りっぱにそだったすてきなかじつ

みじゅくなじぶん さようなら ほんとのじぶんに わらって おはよ》