「……更科先輩?」
「どうした?」
「唐揚げ、イマイチでした?」
「え?そんなわけ……」
ない。
そう言い切る直前で、腑に落ちた。
りんごちゃんが心配になるような表情を、俺はしてたってことか。
つくづくわかりやすいな、俺は。
「イマイチなわけねぇよ。この唐揚げも、すっごくうまい。好きな、味だ」
顔をくしゃっとさせ、できるだけ元気に言い直した。
りんごちゃんの瞳が、細められる。
ひだまりの中、穏やかに微笑み合っていた。
他愛ない話をしているうちに、あんなに詰め込まれていたお弁当箱は空っぽになっていた。
腹いっぱい。
心も、いっぱい。
「ごちそうさま。美味しかった。ありがとな」
もう何度目かも覚えていない言葉に、りんごちゃんは恐縮そうにした。



