「この間の練習試合の時も、後半はやけに冷静だったし」


「いいことじゃねぇか、冷静でいられてるって。それに試合にも勝てたんだし。いいことづくしじゃねぇか」



嘘ばっかり。

練習試合に勝っても、喜べなかったくせして。


いいこと?んなもん、試合の後半は一切なかった。



「そうだけど、そうじゃなくてさ!なんつーの?こう……ちょっとじめじめしてたっつーか……」



じめじめって、俺は雨か。

そこまで暗かったか?



「思い詰めてたみたいだったから、さ」


「…………」


「今もだけど」



黙り込めば、強気に指摘された。


それも否定できない。



「雨みてぇにうっざいから、俺が……俺たちが、ヤローの愚痴でも聞いてやろうかと思って」


「……碧」


「どんなことでも要と一緒にはしゃいで、遥陽と一緒に優しく慰めてやるよ」



あー、俺って寛大すぎじゃね?

なんて、冗談めかす碧に、フッと失笑する。