本当に、好きなんだ。
部長のことが、誰よりも。
あんな安心しきった笑顔を見せる相手は、俺じゃない。
俺の入り込む隙間は、もうないのだろうか。
こんなにも好きなのに、俺は空回りしてばかりだ。
「幸、ありがとな。りんごを運んでくれて」
「……いえ」
なんで部長が感謝するんだ。
そう八つ当たりがましく、責めてしまいそうになった。
最低だ、俺。
ハーフタイム終了時刻が、迫る。
雨音は強まる一方で、外は薄暗い。
俺の心を代弁してくれてるようで、なんだか嗤えた。
毒が侵食していく恋なんか。
――タチの悪い、悪夢だ。