まるで、熟した林檎のような恋でした。





俺の耳を、きみの口を、塞いでしまいたかった。


そうできなかったのは、心では嬉しがってるからだ。



きみの熱は、俺のせい。

嬉しがっちゃいけない。




『あわよくば俺のこと意識してくれたら、って』



俺がああ告げたから。


俺のわがままに、振り回してしまったんだ。



ただ意識してほしかった。

きみを苦しめたかったわけじゃない。



熱を出すくらい、考えてくれたことが嬉しい。


だけど、熱を出すくらい、俺なんかのことで無理させたくはなかった。




矛盾した感情が、葛藤する。


それすら、許せない。



どこか両思いを期待してる自分が、あまりに自分勝手すぎて、煩わしかった。





「更科先輩とお喋りする時間は、すごく楽しくて、落ち着くんです。世くんといる時よりも。どうしてなんだろう……」



あぁ、これは、まるで。

赤い熱に喰われた――甘い、毒。