「りんごちゃん、大丈夫か?」
こういうところがダメなんだ。
自分にイラつく。
もっと他にかける言葉があったはずだろう?
大丈夫じゃないから横になっているのに、「大丈夫か?」と聞いたら、りんごちゃんがなんて答えるか、容易に想像がつく。
「大丈夫、です」
ほらな。
りんごちゃんは優しいから、そうやって嘘をつくんだ。
俺が、嘘をつかせたんだ。
ごめん。
そう言いかけて、呑み込んだ。
俺がそう言ったら、りんごちゃんに気を遣わせてしまう。
「ここは……保健室、ですか?」
「ああ。りんごちゃんが熱で倒れてたから、俺が運んだんだ」
「そうだったんですか。ありがとうございます」
つっかえつっかえに、感謝を紡ぐ。
俺は何も返せず、曖昧に微笑むだけだった。



