まるで、熟した林檎のような恋でした。






「頑張れ、芹沢先輩!!」


「……がん、ばれ……っ」


「……りんご?」



くらりくらり、眩む視界。

熱気にやられたのか、圧に押されたのか。


全身に蠢く鼓動は、鳴り止まない。



灰色の空から、光は差さない。


それでも確かに、輝いていた。



「頑張れー!」



柵の手すりを掴んでいる、りんごちゃんの手は汗ばんでいた。ギュッと握力をきつくさせ、腹の底から声を出す。




大好きな子からの声が、なぜかクリアにすくい取れた。



俺宛てじゃなくたっていいよ。

なんだっていい。


ひたむきに頑張るから。



1秒でも長く、俺を見てて。