「芹沢せんぱーい!……と、更科先輩!」
ストレッチを終えると、頭上から呼びかけられた。
俺と碧はほぼ同時に顔を上げる。
「あっ」
ギャラリーに、りんごちゃんと土浦が来ていた。
今日は端じゃなく、試合全体がよく観れる真ん中を陣取っている。
「やっほー!ほんとに観に来てくれたんだ!ありがとー!」
手を振りながら、自慢のスマイルを向ける碧に、土浦はわずかに照れる。
りんごちゃんと目が合う。
いつまで経っても、慣れやしない。
どうしても緊張してしまう。
「こ、こんにちは」
ペコリ。
頭を下げられ、俺もつられて同じ動作をした。
心臓が、うるさい。
それでも、なぜだろう。碧の前向きさに感化されたのだろうか。
今日は、身体が軽い。



