碧のことだから、何か特別な理由があるとは予想してはいたけど。
まさかそんな事情があったなんて……。
「でも……悔しいけど、あの人の言う通りなんだよな~」
碧はグッと伸びをする。
切り替わった表情は、真剣そのものだった。
「トラウマみてぇなもんがあっても、それは昔の話。試合中は誰であろうと、いいプレーしねぇとな」
左サイドを留めていたヘアピンを外し、前髪を上げた。額があらわになる。
ポンパドールにして、またヘアピンを留める。
本気モードか何かか?
「負けんのは嫌だし」
幸もそうだろ?
と、唇の隙間から白い歯を覗かせて、屈託なく笑う。
いつもの……いや、いつもより気合いの入った碧だ。
「頑張ろうぜ!」
「今日はパスミスすんなよ」
「お前も、シュート外すんじゃねぇぞ?」
「わ、わーってるよ!」
笑い合って、拳をコツンと当てて交わらせた。



