それから数年後。
私が小学4年生の頃。
小学校に上がってすぐに離婚したお母さんが、世くんのお父さんと再婚することになった。
初めての顔合わせの時、世くんと会ってびっくりした。あの見知らぬ男の子の面影を、感じたから。
黒髪も、雰囲気も、優しさも。どことなく似ていた。
……もしかして。
淡い期待を寄せつつも、聞けないまま、再婚に伴い一軒家に引っ越すことになった。
引っ越し作業の際、さりげなくお気に入りの絵本の話をしてみた。私にしては思い切った行動だ。
『あ、それ、小さい頃よく読んでたよ。俺も好きだった。可愛くて、面白いよな』
――『それ知ってる!俺も好きで、よく読んでたんだ』そう言って笑う男の子と、リンクする。
断言するには、早いかもしれない。証明にしては、弱いかもしれない。
それでも、そうとしか考えられなかった。同一人物なのだと、思い込みたかった。
たったの一瞬で、初恋が蘇る。
簡単に、また、好きになった。
家族になるとか、もう兄妹なんだとか、そんなこと痛いくらい知ってる。
ダメだと思えば思うほど、止められなくなった。