「りんご」
夜、お風呂上り。
浴室を出て階段を上ると、世くんに声をかけられた。
まだ乾ききっていない髪、首にかけたまんまのタオル。
ロックオンされたそこに、目つきを鋭くさせる。
「りーんーごー?」
……あ、やばい。
「髪、ちゃんと乾かせっていつも言ってるだろ?風邪引くぞ」
「か、乾かしたもん!……い、一応」
「一応ってなんだ、一応って」
ささっとドライヤーを当てて、終わり。
ちゃんと、じゃなく、一応。
でも、乾かしてないよりマシじゃん。
「そ、そんなことより、世くんっ!」
これ以上怒られるのが嫌で、話をぶった切った。
我ながら、はぐらかし方が下手すぎる。



