まるで、熟した林檎のような恋でした。






「俺も碧もレギュラーで、試合に出るんだ」



隣から、澄み渡った声音が降る。


ハヤシライスをすくおうとした手を鈍らせ、少しずつ横に視線をずらしてみる。



「もし、よければ」



私の視線が捕まえたのか、それとも捕まえられたのか。


更科先輩も私を見て、気弱そうに、それでいて穏やかに微笑んだ。



きゅぅ、とへんてこな心音が響く。

この音は、何?




「応援しに来てくれないか?」


「…………は、い」



気づいたら、返事をしていた。


元々行きたかったけれど、それだけじゃない。



だって、私、今更科先輩のことしか考えていなかった。


本来観に行きたかった理由は、更科先輩じゃなかったはずなのに。


どうしてだろう。

自分で自分がわからなくなる。




「やったじゃん」

「おうっ」


小声で話す先輩2人の会話は、聞こえない。


だけど、心の底から嬉しそうだった。