笑ってほしかった。
だけど、望んだのは、悲しそうでも切なそうでもない、喜色に色づく笑顔なんだ。
「りんごちゃんは、部長のことが好きじゃないのか?」
脆く笑う、理由が知りたくて。
うっかりそんな愚問を尋ねていた。
「好きですよ?」
ほら。
やっぱり、無理してる。
引きつった笑顔を、作らなくてもいい。
俺の前では、無理しないでいいんだよ。
「好き、だから、臨時マネージャーに立候補したんです」
ズキズキ。
心臓が痛むのはなぜだろう。
風にそよがれた、林檎の蜜に似た香りが、少し濃くなった。
この話題になってから、視線が交わらなくなった。俺はずっと見つめているのに、気づかれない。
歯がゆさに、泣けてくる。



