俺は、遥陽みたいに優しくなれない。
きみが誰を想っていても、振り向いてほしい。
たとえ0.1秒だけでもかまわないから。
……嘘。
本当は、全部、独り占めしたい。
こんな諦めの悪い、わがままな俺じゃ、きみとは不釣り合い。
「……どうして、」
「え?」
「どうして、私なんですか?」
視線を弱々しく揺らしながら、だんだん俺から離していく。
下へ下へ、急降下して。
俯いてしまえば、もう、俺からは表情が窺えない。
「一目惚れ、なんだ」
せっかく耳を隠した髪が滑り落ちて、耳たぶがうっすら垣間見えた。
淡い赤に、鼓動が跳ねる。
「真っ赤な頬とか、ふとした仕草とか、キラキラした笑顔とか、全部、気づいたら好きになってた」
その赤が、俺にも、伝染する。



