まるで、熟した林檎のような恋でした。





何に傷ついたのか。

何が傷つけたのか。


わからなくて、それでも笑ってほしくて。



「小佐田……!」



新しい話題なんかちっとも思いついていないのに、そう呼んでいた。


柔く潤む瞳が、俺を映す。輪郭がひどくボヤけていた。



「さ、らしな、先輩?」



……あ、どうしよう。


呼んだはいいけど、何を話すか全然考えてなかった。


えっと、えっと。



「あ、あのさ……」

「はい?」



そういえば、碧は小佐田のことを最初から「小佐田ちゃん」と呼んでいた。


想起して、思わずムッとする。



なんで俺より碧のほうが親しげなんだよ!