まるで、熟した林檎のような恋でした。





そうだ。あの時、ギャラリーの端で、小佐田と土浦が見学していた。


マネージャー志望だったから見に来てたのか。



「世くんがやめろって……」


「なんで!?」



しまった。

己の欲望に忠実になりすぎて、ついオーバーに反応してしまった。



「中学は家が近かったんですけど、高校は遠いので、帰りが心配だからって言ってました」



部長も過保護だなぁ。


まあ、部活が終わる頃には外は暗いし、今日みたいに部長がいつも一緒に帰れるわけじゃないし。危険性ある夜道を女の子1人で歩かせるのは、普通に不安になるよな。




「いいお兄さんだね」


「……そう、ですね」



何気ない一言だった。


けれど、いきなりたどたどしくなった口調に、違和感を覚える。



どうして、そんな、悲しそうなんだ。