まるで、熟した林檎のような恋でした。





小佐田は、この状況を不服に思ってるかもしれない。


だけど、俺はこの状況をめいっぱい私利私欲に利用して、もっと近づきたい。



ずるくて、ごめんな。




「それじゃあ……帰る?」


「は、はい……」



下駄箱で靴を履き替え、校舎を出る。


薄暗い空の下。

すぐ隣にいる、この距離感が落ち着かない。


静けさに包まれているのが、より不自然さを煽る。



初めて好きな子と帰ってるっていうのに、会話はなし。これじゃ、印象が悪くなる一方なんじゃないか?


何か話題を振らねば。


話題……話題……。




「お、小佐田」



静寂を打ち切る一声は、無駄に張っていて。



「ぴゃいっ」



微妙な空気に影響され、小佐田は返答に噛んでしまった。


ぴゃい、って……可愛いな。



羞恥に駆られて縮こまる小佐田に、キュンとしたのは秘密だ。