「待ってよ、世くん!私は……!」
「気をつけて帰るんだよ、りんご」
小佐田の言葉を遮り、部長は優しく微笑みかける。
碧並に、態度の差がひどい。
でろっでろに甘やかしてるな。小佐田を甘やかしたい気持ちは、痛いくらい共感できる。
「じゃあ、頼んだぞ!」
最後まで妹の意見に耳を傾けることなく、部長は体育館のほうへ行ってしまった。
2人きりになり、気まずい沈黙が漂う。
「世くんが勝手にすみません……」
「いや、いいんだよ!謝らないで!」
小佐田は観念したように、沈黙を破った。
申し訳なさそうにしないでほしい。
だって……。
「俺は、さ。好きな子と一緒に帰れて、素直に嬉しいんだ」
だから、気にしないでくれ。
不器用なりに本音を紡いだら、小佐田は口を開閉させ、強く引き結んだ。



