まるで、熟した林檎のような恋でした。





次チャンスが来たら、今度こそいいところを見せよう!



決して器用とは言えない手つきでネクタイを結び、カバンを担ぐ。


帰り支度もできたし、俺も帰るか。



更衣室を出て、生徒玄関に移動した。




「あ、幸!」



生徒玄関前の廊下。

制服姿の小佐田を引き連れ、部長が駆け寄ってきた。


な、なんだ!?



「本当は男にこんなこと頼みたくはないが、背に腹は代えられない。それに、幸だったら、まだ……」


「……どうしたんすか?」



ブツブツ呟いてる内容は、一切聞こえない。それが逆に怖い。つーか、顔も怖い。


部長は意を決して、小佐田を前に突き出した。



「え、えっと……?」


「幸!」


「は、はい」


「イモウトを駅まで送ってやってくれ!」


「はい。……って、えっ!?」



驚いてるのは、俺だけじゃない。小佐田もあたふたしている。