まるで、熟した林檎のような恋でした。





「遥陽は、優しいから」


「優しくねぇよ」



遥陽はこっちを向いて、自嘲的な笑みをこぼした。



「優しいよ」



4人の中で、一番。

信じられねぇなら、もう1回言ってやるよ。



「遥陽は優しいし、友達思いだから、要から略奪してやろうとか、俺みたいに行動しようとか考えないんだろ?」



告白できないんじゃない。

しないんだ。


恋情より友情を、無意識に選んでる。


そんなお前のどこが優しくないって?




「要はいい奴だし、奪えるわけねぇだろ。でも、諦めることもできねぇんだ」



それは、小さな矛盾。


苦しんで、苦しんで。

苦しまない方法を探しては、見つからずにまた苦しんでる。



「あーあ、強くなりてぇな……」



ちっぽけで、それでいて確かな願いは、チャイムの音でかき消された。



前方の扉から、みぃちゃんが入ってくる。



「HR始めるぞー」



盛大なあくびを漏らすみぃちゃんの間抜け面に、俺と遥陽は笑い合った。