まるで、熟した林檎のような恋でした。






「遥陽……?」



遥陽の瞳が、不意に俺を離れた。


ゆらゆら、ゆらゆら。

宙を泳ぐ。


行きつく先は、一点。


教室で友達と仲良く喋ってる、新川の元へ。



「俺には、できねぇよ」



何が、と問わずとも、それくらい容易に汲み取れる。



遥陽がどれだけ見つめても、新川は一切気づかない。


一方通行な片思い。

かつて染み渡った甘美さは、どんな味だったのか、反すうすらできない。




『信じられねぇよ』


『……信じたく、ねぇよな』



きっと、まだ。

俺も遥陽も、タチの悪い悪夢だと、思い込んでいたくて。


だからこそ、諦められない。