「なあ、何のために頑張んのー?」
「きっ、昨日言っただろ!?」
「そうだっけ~?」
おい、とぼけんな。
紅潮しつつ睨みつければ、碧は悪気なさそうに目尻を垂らした。
「ごめんごめん、反応が面白くってつい」
「つい、じゃねぇよ!」
こっちは面白くもなんともねぇわ!
だんだん羞恥心に慣れていきそうで、怖い。
ただでさえ小佐田と一緒にいると、どうにかなっちゃいそうなのに。
これじゃあ、心臓がいくつあっても足りない。
「でもさー、まずは恋愛対象に入れてもらわねぇと、元も子もなくね?」
おちゃらけた雰囲気が薄まった。
どことなく真剣な面持ちで、栗色の髪をいじっている。