まるで、熟した林檎のような恋でした。






「で、でも、私……」



絡まっていた視線が、ほどかれていく。


とうとう足元にまで落ちてしまったが、逆に助かった。今の俺の顔を、見られずに済んで。



うん、知ってるよ。

きみがこれから「ごめんなさい」と、俺を振ること。


だけど、お願いだから、今はまだ言わないでくれ。




「好きな人、いるんだよな?」


「っ!な、なんで……」



弾かれたように、小佐田は再び目を合わせた。


チクリ、と刺さったトゲには気づかぬフリをする。



やっぱり、勘違いじゃなかった。

あれは、俺と一緒。恋してる表情だったんだ。



「誰かは知らない……けど、なんとなく、わかった」



歯切れが悪いのは、許して。


余裕そうに振る舞ってるつもりだけど、これでも必死なんだ。



「好きな人がいるってわかっても、どうしても諦めたくなかったから、気持ちを伝えたんだ」