「近いってば。」
「…いいから、お礼…してよ。ほら。」
アゲハは目を瞑った。
「〜っ!」
あたしはアゲハに"お礼"をしようか戸惑った
するべきなのか
しないできなのか
「……っ、や、やっぱり駄目!」
好きな人とやっぱりキスはしたいから。
そんな軽々しくキスはしたくない。
アゲハの胸を思いっきり押した
「…わわ、……危ないよ。」
「バカ。」
「ふーん…、僕にソレ言うの?…度胸あるね…」
アゲハはニヤリと口だけ笑った
「何度だって言うよ。バーカ、バカバカバカ。女の子に軽々しくそんなことしないでよ。バーカ!」
「………」
相変わらず表情が少ないアゲハはただ無表情であたしを見る
「分かった?キ……キ、キスなんかは……っきゃぁ!」
「煩い…。煩い、口はこうして……っと。」
アゲハは包帯であたしの口を塞いだ
「…………!
(ちょっと、何するの!)」
「まだ、煩い…」
アゲハの黒色の瞳が狂気に染まって行く
そんな瞳をみた時、流石のあたしでも危険を感じた。



