-----結局




コウキと話してて分かったのは


『焦らずゆっくり進めること』

『気持ちはなるべく素直に』


ということ。






(何だかんだ3時間くらい居座ってたな。)






オープンが迫る時間帯に入り
俺は従業員の人に軽く挨拶をして
店を出た。



ユズキやコウキなど
あの店には知り合いが多い。



というより
学生時代に通いつめて知り合いが増えたのもある。
店長とも知り合いになった。


今じゃ本当に良くしてもらってる。




そんな感じで知り合いを増やして行ったおかげで
あそこにはどんな時も出入りできるようになった。





…だけど
本当はユカリをあの日連れて行こうか迷った。





確かに行くのは久々だった。

お世話になってるし
軽く紹介っていうか
報告でもしようかな、と思ったんだ。



店の外で何度か会った店長と
コウキには
家に高校生を預かることになって
今一緒に住んでる、
とは伝えていた。



最初は援交か?!とか
高校生拾うなんてやるなぁとか


わけのわからない勘違いをされた。


ちゃんと伝えても半信半疑の目で見られるし
余計に本物に会わせておきたいと思った。





-----が。




あそこは男が多い。

というか従業員は男しかいない。



だから連れて行くか迷ったんだ。

特にバーだし制服で入れるわけにもいかない。

大人っぽい服を着せれば
案の定男が寄ってくるし。





(……年上の余裕なんて無ぇな。)






ユズキが
バーに来ることはほぼない女子高生の来客に興奮してるのも

コウキが興味本位だとしても
話をして様子を見ていたことも

俺にとっては全部不愉快だった。





-----俺のだ、構うな





本当はそう言いたかった。


心の中で何度奴らに嫉妬したか分からない。






家に帰る道を歩きながら
俺はそんなことを思い出していた。






(…素直になれって…。)






素直になって
嫉妬丸出しの俺を
ユカリは受け止めてくれるだろうか。



そんな心配を抱くものの
だからと言って我慢して隠し通せるほど

俺も大人じゃないらしい。