世界で一番ソラに恋した。

「ただいま~」

「あら、お帰り。遅かったわね」
「学校にカバン忘れて取り戻ったり、奈菜のバイト先に顔出したら遅くなっちゃった」

嘘は言ってない。嘘は。

「色気がないなあ。彼氏とかいねーのかよ」
「五月蠅いな、灰人は。お母さん、お腹空いた~」

ソファでテレビを見ている弟に舌を出しつつ、そのままテーブルの指定位置へ座る。
「はいはい。着替えて来なさいよ」
「もういいよ。それよりご飯」

大雑把な私の行動に溜息を出しつつもハンバーグが並べられた。

ラッキー。まだ温かい。


「灰人は、さっさと部屋に戻って勉強しなさいよ。受験生なんだから」

お母さんの言葉に、灰人が小さく『うるせーな』と呟く。

「っこら、灰人! 聞こえてるんだからね」
「だって姉ちゃんの高校なんて勉強しなくても受かるし」
「はあ!? てかあんたウチの高校来るの!? いやよ。頭いいんだから違うとこ受けてよ」
「近いじゃん」

わあああああ。付いてない。
頭が良いし、見た目も悪くないし、おまけに背も高いんだから比べられちゃうのに。