「立花せんぱーい!」



グラウンドを切り裂くような、女の子たちの甘い声援に思わず私は振り返った。


「きゃー! こっち見た!」
「やああああん。まじ格好良い!」


グラウンドと校舎の間のフェンス越しに一年生が熱い声援を送って来ている。


私のソラ君に。


1,2,3、……飛んで7人。

昨日よりも今日の応援の方が多い。

シュートはもちろん、ヘディングやパス回しだけでも熱い声援が飛び交うから、びっくりした。

ソラ君ってこんなにモテる人だったんだ。


二人で居る時は、そんなこと考えられないぐらいソラ君との時間を楽しんでいるから気づかなかった。
でも、知ってしまうとなんだか本当にやきもきしてしまう小さい自分が嫌い。
身長みたいに心が狭いのか。私は。



「あゆ、顔、超怖いよ」

「だって、ソラ君、モテ過ぎる……」


「そりゃあ、うちのサッカー部、新人戦で県二位だもんね。テレビでも目立ってたじゃん、立花キャプテン」


「奈菜……」

「まあ、ソラ君には溺愛する彼女が居ることもテレビにしっかり映ってたんだから、それでも応援してる女達って性格悪いのしかいないって」