差し出した手に、鍵を乗せて欲しいと訴えたけど、いつまでたっても鍵を置いてくれなかった。
代わりに、私の顔より大きなソラ君の手が私の手首を掴む。
「明日、また此処で続きを話そう。それまで俺が持ってる」
「あ、そんな、困るよ」
「行こう、遅くなったから送っていく」
強引に私の手を引っ張ると、鍵をかけて一緒に狭い机のゲートをくぐる。
ソラ君みたいな大きな男の子には、くぐれるはずもなく、やっぱりまた屋上の扉へ戻って行く。
「ソラ君は、どこから登って来たの?」
「渡り廊下の窓から伝って上へ登ったら屋上へ着いたんだ。悪いけど、渡り廊下の窓の鍵、開けてもらってもいい?」
「……」
身捨てて帰りたかったけど、丁寧なソラ君の喋り方も、さっきも謝罪も悪い人じゃないって分かるから無下に出来なかった。
言われたとおりに渡り廊下の窓の鍵を開けると、猿のように身軽にソラ君が舞い降りた。
「ありがとう、雨笠さん」
にっこりと笑うと、制服の埃を払って一緒に靴箱まで降りる。



