あたしには、あまり良い恋愛経験がない。

小学生のとき、初めて好きになった子は外国に引っ越してしまったし、中学生になって恋した人とは高校入学と同時に、疎遠になって自然消滅。意を決して会いに行ったら、その人には既に、新しい彼女ができていた。


そして、三回目の恋。
帰宅部のあたしは、帰り際にグラウンドの横を通るたびに、いつも、その雄姿に見惚れていた。違うクラスの高田くん。サッカー部のエース。
ただ見つめるだけの日々を重ねるうちに、こんな風にこっそりとボールを追い掛ける姿を見るのではなくて、いつか堂々と応援できるようになりたいという思いが、心に芽生えていた。

だけど今までの経験から、なかなか積極的な行動を起こすことができなかった。
彼氏、彼女って、どんな風に成立するものなのかなぁ、なんて、真剣に頭を悩ませたりもした。

そんな奥手なあたしに協力してくれたのが、親友の千紗。千紗は、あたしが唯一恋の相談をしてた、とりわけ仲の良い友達。親友という二文字が、本当にぴったりだと思う。