君とのキスの意味

「マネージャーは、川下部長が決めているそうだ」

「・・・え?」

高野主任達には、俺の気にしている事なんてお見通しか・・・

「一人は小竹君」

経理課の小竹( こたけ )君は、俺と同期だ。短大卒で入社してるから、2才下になる。極秘になっているが、川下部長の姪でもある。

藤田さんの高校の後輩でもあるから、藤田さんも可愛がっている。明るいし、よく気が付くし、適任だろう。

俺が納得したように頷いていると、高野主任が続ける。

「もう一人は、今度経理課で臨時採用する子だそうだ」

もうすぐ池田君が、産休に入るから・・・まだ、姿を見かけてないよな?

「“ 発足式 ”には顔を出せるように、その日が初出勤にしてあるそうだ」

「えっ⁉それって、まだその子は何も知らないって事ですか?」

「川下部長が決めたんだから、そういう事だろ」

高野主任は、ニヤリと笑った。

俺は、まだ出会った事のないその子に同情した。