クッキーが焼き上がると、再び地響きの様な音が上から聞こえてきた。

ゴゴゴゴゴゴォ……

「今度はなにッ!?」

焼き上がったクッキーが並ぶオーブントレーを持ちながら天井を見上げた。

すると、曇りガラス板が落ちてきた時と同じ様に砂埃を落としながら、今度は曇りガラスの手前に鉄格子が落下してきた。

そして内側の曇りガラスの板は上がり、天井に消えていった。

「谷原さんッ!?」

ようやく声が届くようになったのに、谷原の姿が見当たらなかった。

「折笠さんッ折笠さんッ!」

こもった声で名前を呼ばれ、谷原が業務用の大きなオーブンの中に閉じ込められているのを発見した。

「助けてッ……!」