母はいったい、どれだけの勉強を俺に教えていたんだ。

いつしか母を恨むようになった。

俺は苦痛に思いながらも、入学当初は勉強を教えていた。

でも、もう、うんざりだった。

『何でこんな簡単な問題が分からないの……?』

今まで思っていた事が、無意識の内に口からこぼれてしまった。

俺の周りの空気が一気に凍り付いたのを今でも覚えている。

そして、それを境に、俺は独りになった。

別に悲しいとも寂しいとも思わなかった。

イライラしなくなり、ストレスが溜まる事が減ったので、むしろ喜んでいた。