起き上がる事は出来たが、激痛のせいで目眩に襲われ、立ち上がることは出来ず、その場に座り込んだ。

「死んでも痛みを感じるなんて嫌ね」

溜め息をつき、子供の様な考えをしていた自分を嘲笑った。

そろそろ現実逃避は終わりにしよう。

この暗闇は夢の続きでもなければ、地獄の底でもない。

ここは巨大な黒バラの腹の中。

丸飲みされたのは不幸中の幸いだ。

消化される前に血生臭い胃袋から脱出しなくてはならない。

赤野が心配だ。

二宮の様に殺されてしまっていたら、私はこの巨大な黒バラに自ら身を投げよう。