逃げようと体をジタバタさせても、死は目の前に迫ってきた。

口を塞がれていて助けを呼ぶ事も出来ず、俺は恐怖で涙を流した。

ゆっくりとイバラが動き、俺は血生臭いバケモノの口に近付いていく。

『やめろッ!!やめてくれッ!!』

思いが伝わる訳もなく、とうとう俺の下半身が口の中へ入ってしまった。

そして、バケモノは大きく口を開き、凄まじい勢いと力で俺の体に牙を突き立てた。

「うぐぐぐーッ!!」

ぐちゃっと嫌な音を立てて、焼ける様な痛みが腹部を襲った。

「んぐぐぐぐッ!!ぅぅうぐぐぐぐぐぐッ!!」

どこに目が付いているのかなんて分からないが、バケモノは悲鳴をあげる俺を見てニヤリと口角を上げた。