ノックをしてから、少し待ってみるが扉の開く気配はない。 飽きた俺は黒バラを見に、先輩から離れた。 イバラを辿り、根元を探す。 先輩に何か言われた時の言い訳は考えてある。 『ちょっとそこら辺見てきます』 と言うつもりだったが、先輩は何も言って来なかった。 角を曲がり、真っ黒な光景に驚いた。 「黒バラしか咲いてない……」 その理由は簡単だった。 イバラが他の花に巻き付き、花びらを突き破っていたからだ。