私の手に二宮の手が重なっている様な気がして、自然と手の震えが治った。

私は花瓶にボトルを近付け、こぼれない様にゆっくりと傾ける。

ドッドッドッドッドッド……

小さなボトル口から二宮の血が花瓶に注がれる。

二宮の血を浴びて、黒バラが小さく揺れ始めた。

茎に二宮の血が当たり揺れているだけなのだろうが、待ち望んでいた液体に喜んでいる様にも見える。

ボトルの中が空になり、花瓶は二宮の血で満たされた。

ボトルを握ったまま一歩退がって、黒バラの様子を眺める。

二宮の血を注ぎ終わっても黒バラは、不気味にふるふると小さく揺れ続けていた。

萎れた葉がピクピクと動き出し、茶色く変色していた花びらはゆっくりと深い黒に戻り始めた。

再生が始まったのだ。