「何があったの?」

手前の本棚を調べていた赤野は、しゃがみ込んで本棚の1番下の段を指差す。

「あった……と言うよりは、ここだけ一冊無いんだ」

赤野の言う通り、分厚い本と本の間に一冊分の隙間が出来ていた。

「ねぇ、塚本さんが持ってる毒の本、あそこに入るんじゃない?」

「確かに同じくらいの厚さですね」

赤野は塚本から受け取った紫色の本を、一冊分の隙間に宛てがう。

「あ、入る入る」

赤野が背表紙を押してやると、途中で止まる事なく紫色の本は、すーっと奥まで進み、ぴったりと隙間に収まった。

カチッ……