俺だけ見てろよ。~幼なじみに恋してる~

「あっ! カバン忘れた」


もう一度家に戻り、カバンを手に再び外へ出る。


「ヤダ、今度は腕時計」


普段から忘れっぽいけど、今日はホントにどうしようもない。


だけど、入学式という大イベントに加え、今日のあたしには達成しないといけない目標があるんだ。


こんなところで足止めをくらってる場合じゃない。


「早く行かなきゃ……」


お母さんはあとで来るって言ってたから、あたしひとりで行かなきゃいけない。


緊張しながら、家の前に停めている自転車に乗る。


「……あ、自転車のカギがない」


あわてて自転車からおりようとしたとき、バランスを崩して転けそうになった。







「きゃあっ」


すると、ぐらりと揺れる体を、誰かがうしろから支えてくれた。