「由梨ちゃん着いたよ…っておい。」 運良く渋滞等に引っ掛かる事なく無事に彼女の家の近くにまで到着したのはいいけれど道理で途中から声が途切れ、聞こえなくなった筈だ。 静かに寝息を立てて、先程まで震わせていた大きな瞳は今は固く閉ざされていた。 「ほら、由梨ちゃん着いたよ。眠いけど起きよ?」 軽く揺らしても少し愚図った声が聞こえただけで、また寝息は再開される。 完全に深い眠りに入ってしまっているようだ。 「…しょうがないなぁ…」