シェリーに捧ぐ


だからこそ、彼女にその役割は到底…否あの人の代わりを果たすことは誰にも出来ないだろう、本人だって重々に承知の事実だ。
だって彼はあの人じゃなきゃ駄目なんだから。

「…けど、幸せそうな2人の関係を壊してまで自分の想いを伝えたくないし、奪いたいとも思えないんです。
あの人の笑顔の傍にいたい、けど悲しむ姿も見たくないんです。でもいつまでも諦められなくて苦しくて…、忘れられないんです。」

彼女の悲痛な想いを触れる度ちくりと胸に突き刺さる痛み。
それに気付かない振りをして、耳と口は彼女の話と慰めを、眼前は運転にと気を紛らわす事に労苦する事にしたんだ。