シェリーに捧ぐ


「…先輩、あたし。いつになれば諦められるかな…」

「…どうしたんだよ。」

あの日からこうやって、一緒に帰りながら彼女の話というか悩みを聞くのももうひとつの日課になった。
仕事からプライベートまでの。けれどそれは、出来る事ならば知りたくなかった事実。

「…あたし馬鹿ですよね。敵うわけがないのに何時迄もグジグジと。自分が嫌になります」

「そんな事ないと思うよ。ただ、由梨ちゃんがそう想ってる事に気が付いていないだけで…」

大きな瞳に目一杯涙を溜めて必死に叶わない現実を耐えている。
華奢で小さな震える肩を抱き寄せたくなる衝動に耐え、ぐっと握り拳を作り彼女に見られないようにそれを隠す。