シェリーに捧ぐ



ズキン と痛む心。
寝ても覚めても彼女の眼中には俺が入り込む事はまるでないよ という現実。
車内に残った微量の紫煙が彼の存在を示唆するように、ただただふわりと漂う。

「…っ」

アクセルを踏んで急発進。振り切るように。

何を?何もかもを。隣の君への溢れ出す想いさえも振り切れたらどれくらい救われるだろうか。

勢いよく流れ出す景色。唯一の救いは時間帯。夜も更けきった平日のこんな時間で後続車は雀の涙ほどだから、スピードを上げて走らせる事が出来る。