シェリーに捧ぐ


自販機だけは稼働していた為、2つ缶コーヒーを買いに出たついでに辺りを闊歩。どうやら、東京から然程離れた位置ではないらしい。とりあえずひと安心。運良く明日は休みだけれども、帰れないと困る。何故なら郊外に出てしまえれる程のガソリンが入っているわけでもないし下世話な話、無防備な彼女が隣にいて理性がずっと続く自信もないから。
何となく来てしまったがとにかく車内に戻り、自宅に送り届けなければ。

運転席に座り、隣を見ると未だに固く瞳を閉ざして小さく寝息を立てている。
安らいだ表情を浮かべるその姿からは先程のように叶う事のない恋に翻弄されて悶え苦しんでいると想像さえつかない。