浮舟は見つめる眼にいっぱいの涙をたたえて、

「お人違いでございましょう。遠い昔にそのようなことが
あったような気もしますが、今では全く思い出せません」
「・・・・」
「どうかご主人様にもそのようにお伝えください。この
お手紙は受け取るわけにはまいりません」