【奏side】

3年生が卒業し、2年生が3年生になった。卒業式が終わった後、私は相原先輩とデートをした。……これが俗に言う“制服デート”っていうやつなんだ……。そう思いながら相原先輩と手を繋いで歩いていると、突然話しかけられた。


「……あのっ、奏ちゃん。どっか行きたい所とか行ってみたい所とかはある?」


「えっと……ないです!」


「そっか。あと、敬語じゃなくていいよ? 俺達付き合ってるんだし。それじゃ、まずはこっちにきて?」


そう言われて連れていかれたのは、三階建ての大きな家。……ここってまさか。


「……さ、入って。今、親も妹もいないから」


「あっ、はい! 失礼しまーす……」


私は相原先輩の後ろをついていった。やっぱりここって、相原先輩の家なんだ……。


「……でさ、奏ちゃんはいつから雫ちゃんと一緒にいるの?」


「うーんと……12年は一緒にいるかな。相原くんは王子とどれくらい一緒に?」


「俺も12年だよ。霰の癖とかすぐに分かるようになっちゃってさ……」


「そうなんだ……。あと、……相原くんはいつから私の事好きだったの?」


前から気になってたんだよね。1回も話した事ないはずなのに、なんでだろうって……。


「あぁ、確か奏ちゃんが高1の運動会の借り物競走でさ、奏ちゃんが俺の手を引っ張ってゴールまで走ったでしょ? ……その後奏ちゃんに何の借り物なのか聞いた時に『今一番カッコいいと思ってる人……だよ』って、恥ずかしながら言ってて……それからずっと好きだったんだ」


あぁ、確かにあの時そう言ってたな……。それを正直に相原先輩に言っていた自分がすごいかも。すると、ベッドに座っていた私の隣に相原先輩が座った。


「……奏ちゃんも霰が好きなのかなって思ってたけど、奏ちゃんは俺の事が好きって事を祭りの日に知って……なぜかとても安心したんだ」


「相原くん……」


「奏ちゃん、好きだよ。君が大好きだ」


「や、やめてよ、照れるってば……」


そう言って目を泳がせていると、相原くんがキスをしてきた。


「――奏……」


そう言って私を抱きしめた瞬間、玄関のチャイムが鳴った。


「母さんかなぁ? ……奏ちゃん、ちょっと待ってて?」


そして相原くんは部屋を出ていった。相原くんの妹ってどんな感じなんだろう……。可愛いのかなぁ?そんな事を考えていると、賑やかな声がだんだん近づいてきた。


「銀の彼女ってどんな子なの!? ねぇ教えてよ!」


「え、ちょっと……!! 俺の部屋には入るな――」


そう言った瞬間、ドアが勢いよく開いた。


「……え?」


「……あなたが銀の彼女さん、なの?」


そう言って私の方に近づいてきたのは、とても可愛くて小さい小学3年生くらいの女の子。


「あっ、はい。愛嶋奏です!」


「かわいーい!! 奏お姉ちゃん、いつもうちの兄がお世話になってます! 銀の妹の咲です!」


「咲……俺の奏だからあげないからな?」


「もう、分かってるってば! じゃあ奏お姉ちゃん、またね〜!」


そう言って咲ちゃんは部屋を出ていった。


「ごめんね奏ちゃん、これから咲と出かけないといけないんだ。また今度デートしようね」


「うん! 私、いつでも空いてるから! じゃあね!」


そう言って私は帰ろうとしたが、相原くんに腕を引っ張られ、抱きよせられた。そして、耳元でこう言われた。


「……さっきの続き、またしようね」


「!! う、うん! またね!」


そう言って私は家に帰ったのだった。




      番外編
      -end-